三つのまほうのおくりもの
ジェイムズ・リオーダン 文
エロール・ル・カイン 絵
中川 千尋 訳
あらすじ
昔、ロシアの村にイワンという同じ名前の兄弟がいて、兄さんのイワンは金持ち、弟のイワンは貧乏でした。
貧乏イワンは子どもたちに食べさせるものがなく、兄さんに食べ物を借りに行きました。
金持ちイワンは小麦粉をおわんに一杯貸し、百倍にして返してくれと言いました。
小麦粉を持って帰る途中、強い風に吹かれ、小麦粉は飛ばされてしました。
貧乏イワンは怒り、「はらぺこの子どもたちが家で泣いているのに」と風に言いました。
すると風は食べたいものが出てくるまほうのテーブルかけをくれました。
貧乏イワンの家族が、まほうのテーブルかけのおかげで、おいしい食事ができたのは、一日だけ。金持ちイワンにテーブルかけを貸すと返ってきたのはただのテーブルかけ。また食べるものに困り、今度はゼリーを借りました。
ところが太陽の熱でゼリーは溶けてしまい、怒った貧乏イワンに、太陽は金貨の乳が出るやぎをくれました。
それを知った金持ちイワンに、またしても魔法のやぎをだまし取られてしまいました。
貧乏イワンは三度目にスープを借りますが、冬じいさんに凍らされてしまいました。
冬じいさんは、大男が二人出てくる袋を貧乏イワンにくれました。
貧乏イワンが「出てこい」と言うと、二人の大男は貧乏イワンを棒でなぐり「金持ちイワンはよくばりだ。いい加減に目をさませ」と言いました。
金持ちイワンに袋を貸すと、金持ちイワンは、大男に「弟のものは弟のもの、テーブルかけをかえせ、金貨を出すやぎをかえせ」と言われ、たたかれ続けました。
やっとの思いで弟の家までたどり着き、「みんな返すから、何とかしてくれ」と言いました。
弟は大男を袋に引っ込めました。それからというもの弟イワンは騙されることもなく、幸せに暮らしました。
感想
ロシアの民話の再話。絵はお話とぴったり合い、落ち着いた雰囲気を出していると思います。弟のお人よしに気付かせるのには、少々荒療治の三番目の大男の登場ですが、この結末で納得がいくと思いました。
読み聞かせには
小学校低学年、中学年の子どもたちに。